おうちかいだん
確かに北島くんとはほとんど話をしないし、ここで出会わなければ、まともに話す事もなかったかもしれない。


「私の話って……どんな話よ」


「んー……藤井ってさ、彼氏とかいんの?」


随分軽いノリで聞くんだね。


彼氏……彼氏かぁ……。


「いや、いないけど。北島くんは? なんか軽そうだからいっぱいいそうだけど」


「俺、70kgはあるからそんなに軽くはないと思うんだけど。まあ、身長も高いしイケメンだし、いっぱいいそうと思われるのは仕方ねぇよな。でも残念ながらいないんだよなぁ……なんでだろうなぁ」


とぼけた顔をしたり、と思えば自信に満ちた顔になったり、次の瞬間には落ち込んだりと、感情が渋滞しているのが見ていてわかるよ。


これだけでわかるよね。


北島くんは面白い人だって。


「そうなんだ。北島くんって友達は多いでしょ? 彼女ができたら、友達と遊ぶ時間もなくなっちゃうんじゃない?」


「バーカ。だったらなんで一人でここにいるんだよ。友達と遊ぶ時間って、小学生じゃないんだから別にどうでもいいだろそんなの」


……どうして北島くんはここにいたんだろ。


暇潰しをするにしても、もっといい場所があったと思うんだけど。
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