おうちかいだん
そこまで考えて、私はひとつの可能性に辿り着いて顔を赤くした。


そんなはずはないと思いながらも、北島くんがここにいる意味が他には思い付かなくて。


チラリとその横顔を見ながら尋ねてみた。






「もしかして……私を待ってた?」






すると北島くんは、わかりやすく慌ててみせて。


「バ、バカ! そんなわけ! そんなわけ……」


完全に否定しない姿が、とても可愛く見えた。


あまり話したことのない北島くん。


クラスの中心人物で、友達が多くて楽しい人。


そんな人が、私を待っていてくれたんだ。


「違うの? 北島くんが彼女がほしいなら、もし良かったら私がなってあげてもいいけど……」


なぜだろう。


その場のノリというか雰囲気というか。


そんな気分になってしまって、思わず言ってしまった。


「え? は? 藤井が? マジなのか? え? 俺の彼女に? 本当に?」


なんか、凄く聞き返してくるけど、そんなに信じられないのかな。


「う、うん。嫌ならいいんだけど」


「い、嫌なわけがないだろ! 嘘だろ、なんだか信じられねぇ。夢でも見てるんじゃないのか」
< 119 / 231 >

この作品をシェア

pagetop