おうちかいだん
「あ、いや……そういうつもりじゃなかったんだけど。藤井が穿いてるならなんでも可愛いよ」
「それ、褒めてるつもり? なんか変なの」
手を繋いだまま2人で立ち上がり、顔を見合わせて微笑むと、階段を下り始めた。
私がギュッと握ると、北島くんもギュッと握り返してくる。
親指で手の甲を撫でると、北島くんも撫でてくる。
「もう、北島くんったら」
「なあ、付き合ったんだから、お互い名前で呼び合わねえ? よそよそしいのも妙に興奮するけどよ、やっぱりもっと親密になりたいからさ」
「ふぅん。じゃあ瑛二くんって呼べばいいのかな? 瑛二くん」
私が耳元に顔を寄せて言うと、北島くんはトロンとした目になって嬉しそう。
「た、たまんねえな。俺、こんなに幸せで良いのかな。じゃあ、俺も藤井の名前を……あれ? 藤井の名前って何だっけ?」
階段の踊り場で、下に向かう階段に差し掛かりながら、北島くんが首を傾げた。
嘘でしょ?
私のことが好きなのに、私の名前を知らないとかあるの?
繋いでいた手が解けて、北島くんが二歩先で立ち止まった。
「藤井?」
そして、振り返って踊り場で立ち尽くしている私を、不安そうに見上げたのだ。
「それ、褒めてるつもり? なんか変なの」
手を繋いだまま2人で立ち上がり、顔を見合わせて微笑むと、階段を下り始めた。
私がギュッと握ると、北島くんもギュッと握り返してくる。
親指で手の甲を撫でると、北島くんも撫でてくる。
「もう、北島くんったら」
「なあ、付き合ったんだから、お互い名前で呼び合わねえ? よそよそしいのも妙に興奮するけどよ、やっぱりもっと親密になりたいからさ」
「ふぅん。じゃあ瑛二くんって呼べばいいのかな? 瑛二くん」
私が耳元に顔を寄せて言うと、北島くんはトロンとした目になって嬉しそう。
「た、たまんねえな。俺、こんなに幸せで良いのかな。じゃあ、俺も藤井の名前を……あれ? 藤井の名前って何だっけ?」
階段の踊り場で、下に向かう階段に差し掛かりながら、北島くんが首を傾げた。
嘘でしょ?
私のことが好きなのに、私の名前を知らないとかあるの?
繋いでいた手が解けて、北島くんが二歩先で立ち止まった。
「藤井?」
そして、振り返って踊り場で立ち尽くしている私を、不安そうに見上げたのだ。