おうちかいだん
そして、お母さんがお風呂に呼びに来たということは、また始まったということ。


何とかして逃げないと、永遠に私はこの恐怖を味わい続けることになってしまう。


だけど、どうやって逃げればいいの？


鏡が怖くて、見ないように俯いてお風呂場に行って、部屋に戻っていた時はこんなに怖い目に遭わなくて済んでいた。


それだけを繰り返していれば、私は永遠に恐ろしい目には遭わないんだ。


ただし永遠に囚われたまま。


「よく考えて……玄関から出ても戻される。お風呂に入らなきゃダメ。私は一体何をさせられてるの？ この家はなんなの？」


私の家であることは間違いないけど、どうも様子がおかしくて。




「リサ！ お風呂に入りなさい！」




またお母さんの声が聞こえて、どうしても私をお風呂に入れたいのだろう。


私は下着とパジャマを手に取り、ゆっくりと部屋のドアを開けた。


玄関から出ても部屋に戻される。


お風呂に入って部屋に戻っても、またお風呂に入らなければならない。


もしもこれが呪いか何かだとしたら……そんなの、誰の仕業かなんて限られてる。


黒く、不純なモノが溜まっているかのような階段の下を見ながら、私は一段一段ゆっくりと下りて行った。
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