おうちかいだん
この顔……私に似てるけど私じゃない!


「なんてバカな子かしらね、リサは! 大人しく私の言う通りにしていれば、ずっと綺麗なままでいられたのに!」


「や、やっぱり……ミサは私じゃなかったんだね! 離して、離してよ!」


おかしいと思ったんだ。


あの不気味な女の人の手。


ロウソクを入れ替えるあの手が、反転しているとはいえ私の手にそっくりだったから。


傷の位置も、ほくろの場所も、爪の長さも同じで……違うのは顔だけだった。


つまり……。


「あの人が……本当の私なの?」


「あらあらあらあら、気付いてたなんて意外。私と似てる顔なんて、2人も存在する意味はないでしょ? だから顔の皮を剥いで殺してやったのに、まさか生きてたなんてね! でも、リサが否定し続けてくれたおかげで、簡単に殺すことが出来たよ。これでリサは私、私はリサになったんだから感謝してよね」


複雑な気分だった。


確かにミサに戻ってくれるのを望んでいたけど、まさか鏡の中の私が殺されたなんて。


それに、私に似たミサというこの人物は一体……。


「ミサは……何者なの」


「リサ……あなたねぇ。自分の母親の名前も忘れたわけ? 随分と親不孝じゃないの。そんな子には罰を与えないといけないね」


< 192 / 231 >

この作品をシェア

pagetop