おうちかいだん
~生徒玄関前~


「っていう話でね、なんか気味が悪かったから覚えてるんだ」


米津さんが私にメイクをして、小さく「よし」と呟いた。


鏡を取り出してそれを私に見せると、誇らしげに。


「どう? かなり変わったでしょ。藤井さんのミステリアスな雰囲気を残しつつ、綺麗に妖艶にしてみたよ」


妖艶……というのがよくわからないけれど、きっとこれが米津さんの好みなのだろう。


「凄いね。米津さんはどうして私にメイクをしてくれたの? お詫びって言ってたけど……何か裏があるんじゃないの?」


すでに激しいキスをされているけど、そのお詫びに……と言うよりは、ここから何か見返りを要求されそうで怖い。


「ふふ。やっぱり藤井さんは騙せないか。私ね、綺麗な顔の女の子が好きなの。あ、男の子が嫌いってことじゃないよ? ただ、綺麗な顔の女の子ってたまらなくステキじゃない?」


まあ、憧れている人とか、そういう意味ならわからなくもないかな。


こんな顔の人になりたいとか、そういう感じならね。


「だから……今の藤井さんを私のモノにしたいの。キスして舌を絡めて、脳がとろけるくらいに気持ちのいいことを2人でしようよ」
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