おうちかいだん
「嘘でしょ嘘でしょ! 藤井さん! 私に一体何をしたのよ! こんなこと許されると思ってるの!? 私の顔が、目が、こんなになっちゃうなんてありえない!」
半狂乱で私を怒鳴りつけるけど、私だってこんなことになるなんて知らなかった。
ただ、メイクを落としたらどうなるのかを知りたかっただけだから。
それにしても、目を吹いたら目が落ちたなら、口を拭けばこのうるさい口も落ちるのかな。
なんて考えて、もう一枚メイク落としシートを取り出して、米津さんの顔を拭いた。
「あ! ごめん……口と一緒に鼻も拭いちゃった。米津さんが動くから」
私の手の上にあるメイク落としシートには、今度は米津さんの口と鼻が。
申し訳なく思って米津さんを見てみると……鼻と口があった場所に穴は空いているけれど、声を発さなくなったようで、涙を流している米津さんらしき人物が恨めしそうに私を見ていた。
「自分の顔がわからなくなるほどメイクをするなんて、だったら顔なんてなくてもいいよね。米津さんくらい化けられるなら、どんな顔だって大丈夫だよ。元気を出して。ね?」
私はそういって、米津さんを鏡に映してその姿を見せてあげた。
あまりにも衝撃的だったのか、ボロボロと涙をこぼしてその場を崩れ落ちたけれど、私はゆっくりと鏡を閉じた。
米津さんの姿は、もう私の目の前にはなかった。
半狂乱で私を怒鳴りつけるけど、私だってこんなことになるなんて知らなかった。
ただ、メイクを落としたらどうなるのかを知りたかっただけだから。
それにしても、目を吹いたら目が落ちたなら、口を拭けばこのうるさい口も落ちるのかな。
なんて考えて、もう一枚メイク落としシートを取り出して、米津さんの顔を拭いた。
「あ! ごめん……口と一緒に鼻も拭いちゃった。米津さんが動くから」
私の手の上にあるメイク落としシートには、今度は米津さんの口と鼻が。
申し訳なく思って米津さんを見てみると……鼻と口があった場所に穴は空いているけれど、声を発さなくなったようで、涙を流している米津さんらしき人物が恨めしそうに私を見ていた。
「自分の顔がわからなくなるほどメイクをするなんて、だったら顔なんてなくてもいいよね。米津さんくらい化けられるなら、どんな顔だって大丈夫だよ。元気を出して。ね?」
私はそういって、米津さんを鏡に映してその姿を見せてあげた。
あまりにも衝撃的だったのか、ボロボロと涙をこぼしてその場を崩れ落ちたけれど、私はゆっくりと鏡を閉じた。
米津さんの姿は、もう私の目の前にはなかった。