おうちかいだん
玄関に置かれているお父さんのバットを手に取り、廊下を歩いて壁にある照明のスイッチを押した。


キンキンッという音が蛍光灯から聞こえて、パッと明るくなったと同時に私の目に映ったのは……正面の鏡に、横一列に並んで私を見る不気味な人達の姿。


女の子だけだと思っていたから、まさかこんな大勢で見られているとは思わなくて、心臓が止まりそうになるくらいの衝撃が身体中を駆け巡る。


手は震え、足は床にくっついたかのように動かない。


だけど私は、グッとバットを握り締めて。


「お前のせいだ！ お前が私を見てるから！ 私を解放して!!」


祈るようにそう叫んで、バットを鏡に向かって振り下ろした。


バリンと派手な音を立てて、壁に掛けられていた鏡が割れて床に落ちる。


そして鏡が掛けられていた場所に……御札が貼り付けられていたのだ。


「お、御札？ まさかこれのせいで私は……」


それに手を近付けると、一瞬にして灰へと変わり、ボロボロと崩れ落ちてしまった。


何がなんだかよくわからないけど、ここに御札が貼られていたということは……もうひとつの鏡にの裏にも貼られている可能性がある。
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