おうちかいだん
ギギギ……。
ギギギ……。
という金属が擦れる音がどこからともなく聞こえてきて、私は腐れ落ちた階段に足を掛けた。
すると徐々に、在りし日の姿へと戻って行って……私の記憶の最後にある階段に変わったのだ。
「この家はもしかして……んーん。まだ答えを出すのは早いよね」
何となく、どういうことかは想像がつくけれど、確証を得られていないからとりあえず調べることを優先しよう。
答えを出すのは後でいい。
階段を上っていると、背後からジャラジャラという鎖の音が聞こえ始めた。
それも、いくつもの鎖の音が。
そのあまりの量の多さに驚いた私が、慌てて振り返ってみると……。
「ああ……イハ……おはへひ……」
階段に打ち付けられたリングからだけではなく、天井から吊り下げられた、フックに頭部を貫かれた人達が、ブラブラと身体を揺らして一斉に私を見たのだ。
「ひっ!」
自分が幽霊であると自覚していてもこの光景は恐ろしい。
そして、一番私の近くにいる女性は……あの日、私の代わりに階段の幽霊に連れて行かれたお母さんだった。