おうちかいだん
お母さんが、私を見て唸るような声を上げていた。


「お母さん……あの日、私が学校から帰るとお母さんは消えていた。声はするけど姿は見えなくなっていたよね。一体何がどうなったの」


知りたいことはそれだけじゃない。


この家での怪談を、多くの人から聞かせてもらったけれど、それらのどれもが私が経験したものばかりだった。


幼い頃の記憶が、怖いものに改ざんされれしまっただけなのか、それとも生前の記憶があやふやなまめ思い出されているのかはわからない。


だからこそ、学校から飛び出してこの家に戻ってきたというわけだ。


「お母さん、この家は一体何なの? どうしてお母さんも私も死ななければならなかったの?」


私と入れ替わろうとしたお母さんなら、何か知っているかなと思ったけど、そんなことをしようとした人が教えてくれるはずがないか。


それにしても……これは一体どういうことなの?


こんなに大勢の人が吊り下げられているなんて、普通に考えてありえない。


一度起こってしまった事故で死んだ人が、幽霊となって出てきたというならまだ納得も出来たけど……この人数は偶然で片付けられる数じゃない。
< 203 / 231 >

この作品をシェア

pagetop