おうちかいだん
「つまり、おじいちゃんはお父さんの悪事を隠すために手伝っていたってこと? その……殺人の後片付けを」


私が尋ねると、おばあちゃんは震えだして頭を抱えて、身体全体を激しく揺らすように震え始めた。


「ああ、あああああああああああああああああっ!」


そしてスーッと、戸棚に吸い込まれるように消えて。


結局戸棚に何が入っているのかわからなかったなと思った瞬間。







バンッ!








と、弾かれるように戸棚の扉が弾け飛び、中からボロボロに朽ち果てたミイラが現れたのだ。


何か言いたげに、私に手を伸ばしているようにも見えるその姿は……少し寂しげだった。


「おばあちゃん……見つけてほしかったの? それとも、お父さんを止めてほしかったの? どちらにしても、気付いてあげられなくてごめんね」


ただ、怖いだけの存在じゃなかった。


どうしてこんな場所におばあちゃんのミイラが置かれていたのかはわからない。


誰がやったと言われたら……お父さんなのだろう。


階段の人達もお父さんがやったとするならば、とんでもない殺人鬼の血が、私にも流れているってことになる。


そう考えると、嫌悪感さえ感じる。


戸棚が開いた時に、ヒラリと舞い落ちた1枚の紙。


私はそれを拾い上げ、おばあちゃんに祈るとポケットに入れた。
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