おうちかいだん
ギュッと瞼を閉じて、お風呂場に入ってからゆっくりと目を開ける。


ふわっと漂う蒸気が鼻の奥を刺激して、いつもの安心できるお風呂場だと一瞬錯覚した。


でも……。


「な、なに……これ」


開いた私の目に飛び込んできたのは、いつもとは違う光景。














辺り一面血に塗れた、真っ赤なお風呂場だった。











壁のタイルも、浴槽のお湯も、何もかも真っ赤で。


呆然と立ち尽くす私の前で、浴槽の底から何か黒い物が浮かび上がってきた。


「ひっ!」


それは女の人の頭。


不自然に陥没して、目玉が飛び出している。


それだけではなく、首も何かで切られたような痕があって、血がドクドクと流れ続けていた。


「な、何これ……何これ……ひいっ!」


何かがおかしい。


いや、全てが元に戻って行くと言った方が正しいのか。


私が手に持っていたバットの先に、髪の毛と肉片がこびり付いている。


物言わぬその女の人を見て……私はあることに気付いてしまった。


「な、なんで……この子のホクロ、私と同じ位置に……」


あご、右耳、首、ひとつひとつ触って確認して、私は信じたくない事実に直面した。









「これ……私だ」
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