おうちかいだん
~学校~


「……って話。なんか不思議な話だったよね。幽霊なのに死ぬとかさ。やっぱありえないか」


ひとつの怪談話を語り終えた矢沢さんは、どこか清々しささえ感じた。


教室からベランダに出て、手すりにもたれながら私に話し掛ける。


「藤井さんは何か面白い話知らないの? 暇潰しになるなら何だっていいよ」


無邪気に笑う矢沢さんは綺麗で可愛い。


あまり見たことのない表情だったから、私は思わず見惚れてしまった。


「そうね。こんな話はどうかな。ある日、女の子が放課後の教室に行ったら、クラスでも地味な女の子と話をすることになったの」


「なんか私達みたいだねそれ。で? 続きは?」


他愛のない作り話を、思い付きで話しているだけなのに矢沢さんは興味を持ったようだ。


部屋を緋色に染める太陽の光が、矢沢さんを照らしてますますその姿が美しく浮かび上がる。


「その女の子は、話してしまったら死ぬという話を、暇潰しで地味な女の子にしてしまうの。もちろん、その話を女の子にした友達が死んでいなかったから。だからただの作り話だと思ったわけだけど、本当はそうじゃなかったのよ。なぜなら、その女の子も友達も、同じ時に死ぬから」


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