おうちかいだん
背中を向けていると、鏡が見えないから大丈夫だろうと思うかもしれない。
事実私もそう思っていた。
でも、お風呂を出て、自分の部屋に帰る時……背中に何か得体の知れない感覚があるのだ。
「……やだなぁ」
ボソッとそう呟くのがやっとで、それ以上口に出してしまうといるはずのない何かが返事をしそうで怖かったから。
廊下に出て、お風呂場の電気を消すと同時に暗い玄関に向かって歩く。
いつもこの瞬間が怖くてたまらない。
ただ廊下を歩くだけ。
一歩踏み出して廊下を踏みしめる。
歩き出せば大丈夫、怖いことなんて何もないと自分に言い聞かせるけど……この日はいつもとは違った。
「リサ、お風呂から上がったら、上がったって言いなさい!」
背後から、お母さんの声が聞こえて私はビクッと身体を震わせた。
「ご、ごめん、上がっ……」
お母さんからすれば私がお風呂から出たのは見たらわかるだろうけど、私がそう言おうとすると……。
「こっちを向きなさい」
突然耳元で聞こえたお母さんの声。
あまりに近くから聞こえて驚いた私は、身体が声の反対側に振れて壁に当たってしまった。
事実私もそう思っていた。
でも、お風呂を出て、自分の部屋に帰る時……背中に何か得体の知れない感覚があるのだ。
「……やだなぁ」
ボソッとそう呟くのがやっとで、それ以上口に出してしまうといるはずのない何かが返事をしそうで怖かったから。
廊下に出て、お風呂場の電気を消すと同時に暗い玄関に向かって歩く。
いつもこの瞬間が怖くてたまらない。
ただ廊下を歩くだけ。
一歩踏み出して廊下を踏みしめる。
歩き出せば大丈夫、怖いことなんて何もないと自分に言い聞かせるけど……この日はいつもとは違った。
「リサ、お風呂から上がったら、上がったって言いなさい!」
背後から、お母さんの声が聞こえて私はビクッと身体を震わせた。
「ご、ごめん、上がっ……」
お母さんからすれば私がお風呂から出たのは見たらわかるだろうけど、私がそう言おうとすると……。
「こっちを向きなさい」
突然耳元で聞こえたお母さんの声。
あまりに近くから聞こえて驚いた私は、身体が声の反対側に振れて壁に当たってしまった。