おうちかいだん
「怪談? 面白い話って言ったのに怪談なんて、藤井さんって面白いね。まあ、ミステリアスな雰囲気もあるし、恋バナよりはずっと似合ってると思うけどさ」


褒められているのかどうかもわからない評価をされて、少し困惑してしまうよ。


こう言えばおかしな人と思われて去っていくかなと思ったのに、逆に興味を持たれたかもしれない。


「ごめんね、急に。怪談なんてないよね。私、怖い話が好きだからつい。何か面白い話があったら、また今度聞か……」


「うーん、人に話すと死んじゃう話もあるけど……あ、他にひとつ知ってる! あんまり怖くないかもしれないけど、聞いてくれる?」


私が怪談を知っているかと振っただけに、断ることは出来ない。


腕を手を回して身体を寄せてきた松田さんに、私はどうすればいいかわからずに頷くしかなかった。


「き、聞くよ。それで、どんな話なの?」


「話すけど……もしもちょっとでも怖かったら、私のお願い聞いてくれる? 全然大したお願いじゃないんだけどさ」


ああ、この子は少し面倒なタイプの子だ。


どうしてそんな話になるのかがわからないけど、断ったら断ったで面倒だし、一応聞くだけは聞いておこう。


「わ、私に出来ることなら……ね。お金の話は無理だよ」


「やった! 大丈夫、大したことじゃないから。じゃあ話すね。これはある家で起こった話なんだけど……そこに住んでた女の子のお話なんだ」
< 85 / 231 >

この作品をシェア

pagetop