おうちかいだん

だ、誰……私の知らない、私が見たことのない女の子が、目を見開いて私を凝視している。


ヤバい……これは本当にヤバいやつだ！


そう感じた瞬間は、鏡の中の女の子は大きく口を開けてとてつもなく大きな悲鳴を上げたのだ。


まるで超音波のような、鼓膜が破裂してしまいそうな不快な振動。


咄嗟に手で耳を塞ぐけれど、それだけでは済まなかった。


私の目の前にある縁側のガラス戸。


そのガラスが不自然に震えると、その振動に耐えきれなくなったのか砕けて飛び散ったのだ。


「ひゃああぁぁぁぁぁっ！」


一体、何が起こっているのかがわからない！


私はいつものようにお風呂に入って部屋に戻ろうとしただけなのに！


どうしてこんなわけのわからないことが起こるのよ！


全く意味がわからない出来事に震え、頭を抱えていると……。







「何を大きな声を出しとるんじゃ？ 大丈夫かの？」







私の悲鳴に驚いたのか、居間にいたおじいちゃんが廊下に出てきて、心配そうに声を掛けてくれたのだ。


その声を聞くと同時に、まるで沼から引っ張り出されたような安心感を覚えて、私はおじいちゃんに目を向けた。