おうちかいだん
その日の寝る前、お風呂から上がった私は戸棚の中に何がいるかを調べるために、柄の長いホウキを持って台所に向かった。
この時間だとお母さんは自分の部屋にいるし、絶対に見つかるはずがないから。
だけど問題はお母さんではなく……おばあちゃんだった。
台所の引き戸を開けると、流しの前に立って洗い物をしているおばあちゃんの姿がある。
お母さんはさっさと自分の部屋に戻ったというのに、おばあちゃんは自分の食器や今日使った鍋なんかを時間を掛けて洗っていた。
「お、おばあちゃん。まだいたんだね」
薄暗い台所。流しの上の小さな蛍光灯の明かりだけが点いた状態で。
「おやおや、どうしたんだい? 早く寝ないと朝が起きられないよ」
こちらを見もせずに、手を休めることなく洗い物を続けていた。
早く部屋に戻ってくれないかなと思ったけれど、どう見てもついさっき洗い始めたような量が残っていて、もう少し早ければおばあちゃんがいなかったかかもしれないと考えたら、自然とため息が出た。
「えっと……ちょっとね」
チラリと戸棚に目を向けると、今はしっかりと閉まっていて、あの目は見えない。
だけど……何か異様な気配のような物はずっと感じていた。
この時間だとお母さんは自分の部屋にいるし、絶対に見つかるはずがないから。
だけど問題はお母さんではなく……おばあちゃんだった。
台所の引き戸を開けると、流しの前に立って洗い物をしているおばあちゃんの姿がある。
お母さんはさっさと自分の部屋に戻ったというのに、おばあちゃんは自分の食器や今日使った鍋なんかを時間を掛けて洗っていた。
「お、おばあちゃん。まだいたんだね」
薄暗い台所。流しの上の小さな蛍光灯の明かりだけが点いた状態で。
「おやおや、どうしたんだい? 早く寝ないと朝が起きられないよ」
こちらを見もせずに、手を休めることなく洗い物を続けていた。
早く部屋に戻ってくれないかなと思ったけれど、どう見てもついさっき洗い始めたような量が残っていて、もう少し早ければおばあちゃんがいなかったかかもしれないと考えたら、自然とため息が出た。
「えっと……ちょっとね」
チラリと戸棚に目を向けると、今はしっかりと閉まっていて、あの目は見えない。
だけど……何か異様な気配のような物はずっと感じていた。