七色の魔法使い#4~月は風の手を借りて~
館に来てみると、輝一(きいち)と輝一の双子の弟の大智(だいち)がいた。2人は、同時に僕らの方を見ると微笑む。
「ずっと黙ってたことがあるんだけど……僕、本当は女……なんだ」
紫月の発言に、ノートに小説を書いてた輝一の手が止まった。
「……一応……女、なんだけどさ……女の子らしくないってよく言われたんだ。それが嫌でずっと男の子のフリをしてた……顔も性格も女の子らしくないから、皆に笑われるんじゃないかって怖くて……不安な時は、ずっと楓が支えてくれたんだ。楓には、感謝しか無い」
紫月の話を、静かに僕らは聞く。紫月って中性的な顔立ちしてるし、一人称が「僕」だからずっと男の子だと思ってた……。
「それに、僕は男の子として生きていた方が楽なんだ。だから、これからも同じように接するよ……ごめんね?突然、こんな話をして」
「……大丈夫だよ。話してくれて、ありがとう」
大智は、そう言って微笑んだ。
あれから数日の夜。僕は、大智から渡された曲を聴きながら、パソコンの画面を睨むように見つめていた。
大智は作曲だけじゃなくて、作詞や編曲までも出来ることが最近分かったんだ。
その曲をネットに載せたい、と大智は言ったから、僕がこの曲のイラストを担当することになったんだけど……。