エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「完成したオムライスに、お互いケチャップでメッセージを書きません?」
「メッセージ?」
「はい。今日から一緒に暮らすにあたって、お互い自由に伝えたいことを書くんです。照れくさいかもしれないですけど、食べちゃえば消えますし」
俺はしばし黙って考え込んだ。この様子だと、花純は恥ずかしいメッセージを書くつもりのようだ。
だとしたら、俺も少しは心の内を見せた方がいいのか……? さすがに、洗面所の歯ブラシセットのようにあからさまな表現はできないが。
「わかった。俺なりにやってみよう」
「ありがとうございます! そのためには、卵を綺麗に仕上げないとですね」
がぜん気合の入った様子の花純は、その後宣言通りの美しいオムライスを仕上げた。
洋食屋で出てきそうな、楕円の両端が尖ったオーソドックスな形だ。
スプーンや飲み物を用意して彼女とテーブルを挟んで向き合うと、花純が先にケチャップを手にした。
「じゃ、私から先に書きますね。いいって言うまで見ちゃダメですよ?」
「ああ」