エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
甘いキスと寂しい夜
時成さんのマンションに引っ越してきた夜、彼に聞いていた通りお客さんが三人やってきた。
玄関で時成さんとふたり、彼らを迎える。
「はじめまして。雨郡と申します。この度はお招きにあずかり、ありがとうございます」
「こんばんは、花純ちゃん。料理教室ぶり~」
「榛名花純です。時成さんがいつもお世話になっております」
まず挨拶を交わしたのは、司波さんが職場でお世話になっている上司の雨郡さんと、相変わらず明るいテンションの柳澤さん。
前に司波さんが話していた、この家によく押しかけて来る同僚というのは、彼らのことらしい。
ふたりは勝手知ったるというふうに感じにさっさと廊下に上がり、リビングダイニングに消えて行った。玄関に残された最後のお客さんは、唯一の女性だ。
彼女は一七〇センチはあろうかという長身で、お洒落なセットアップのパンツドレスを纏っている。
ミルクティー色のミディアムヘアは肩下で跳ね、時成さんとよく似た、きりりと整った顔立ちで私を見る。
「はじめまして花純さん。時成の妹、光希です。テレビや雑誌でのご活躍、いつも拝見しています」