エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 時成さんから、妹さんは私と同い年だと聞いていたけれど、光希さんの方が断然大人っぽくて垢抜けている。

 職業はアパレル企業のバイヤーだそうなので、センスの良さにも納得だ。

「はじめまして。そんな、活躍だなんて」

 恐縮しまくる私に光希さんはクスッと上品に微笑み、それから時成さんに視線を移す。

「お兄ちゃん久しぶり。元気そうだね」
「お前もな。親父は?」
「元気だよ。『お兄ちゃん結婚するらしいよ』って言ったらびっくりしてお茶こぼしてた」
「どうせ、俺は結婚に向かない男だと思っていたんだろう。自分に似て」

 時成さんがそう言うと、光希さんも同調するように苦笑して頷いた。

 詳しい経緯までは知らないのだけれど、彼らのご両親は時成さんが高校生の頃、六つ年下の光希さんが小学生の頃に離婚しているそう。

 時成さんはお母様、光希さんはお父様についていくことを選び、兄妹離れになってしまった。

 それでも学生時代は何度か兄妹で会って近況を報告し合っていたらしいけれど、それも光希さんが社会人になるまで。

 ここ数年はそれぞれ仕事が忙しく、電話やメールでしか連絡は取っていなかったそうだ。

 光希さんを見つめる時成さんの瞳はどこか優しく、私の前では見せない〝お兄ちゃん〟の顔に、私はこっそりキュンとした。

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