エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「なんで気づかなかったんだろう。ネットで調べればいいだけなのに」
そう言ってスマホを取り出し、即座に検索アプリを開く。
ええと、もうカタカナで【マシェリ 意味】でいいかな。
「やっと気づいたんだ。スペルわかってるならググればいいって」
「花純さん、なんて出てきましたか?」
相変わらず好奇の目で私を見ている柳澤さんと光希さんの前で、私はスマホの画面に釘付けになった。
そこに並んだ文字を読んだはいいけれどすぐには理解できず、ぽかんと口を開ける。
「私の、愛しい人……?」
「そうそう、それで合ってるよ」
たどたどしく声に出して読み上げた私に、柳澤さんがにっこり微笑んで頷く。
えっ。本当に? なにかの間違いではなくて?
ようやく理解が追いついてくると、急に頬が熱くなり、胸がドキドキ音を立て始めた。
思わず体の向きを変えて、リビングで雨郡さんと談笑する時成さんを見つめる。すると、突然柳澤さんが立ち上がって彼らのもとに歩み寄り、時成さんになにか耳打ちした。
時成さんは「はぁっ!?」と大きめの声をあげて柳澤さんを睨みつけ、それからゆっくり私に視線を合わせた。
それがものすごーく不機嫌そうな表情だったので、私は思わず肩を竦めてくるりと彼に背を向ける。