エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
念を押すように問いかけられ、感極まった私は無言でうなずくしかできなかった。
だって、あの時成さんがこんなに……こんなにストレートな言葉で、自分の想いを伝えてくれるなんて。
嘘でも夢でもないんだよね? どうしよう、うれしすぎて胸がいっぱい。
「あのっ」
「ん?」
「私、これからもっと時成さんを知って、時成さんのためだけのお料理のレパートリー、たくさん増やしますね!」
突然そんな宣言をした私に、時成さんは一瞬面食らったような顔をした。
私にできる精一杯の愛情表現だと思うのだけれど、うれしくなかったかな?
そう不安になりかけた私の頭に、ポンと彼の大きな手がのった。
「期待してる。お前の料理は本当にうまいからな」
珍しく素直に褒めてくれた彼に目元が緩み、頭を撫でられながらほんわかした気分に浸っていたその時。
「いや~よかったなぁ司波。俺のおかげで素直になれて」
「羨ましいぞ、司波」
「お兄ちゃんがそんな優しい顔してるとこ初めて見た。お幸せにね~」
いつの間にリビングから移動したのだろう。キッチンの陰から三人がひょこっと顔を出して、口々に私たちを冷やかした。