エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
途端に恥ずかしくなった私は、すっくと席を立ち慌てて冷蔵庫へ向かう。
「そ、そろそろデザート食べましょうか。ねっ! 光希さんがお好きだお聞きしたので、卵感強めの昔ながらのプリン、作っておいたんです」
「ホントですか? 食べたーい」
光希さんと一緒にキッチンで準備をしながらちらりと時成さんの様子を窺うと、柳澤さんと雨郡さんに絡まれて迷惑そうにしながらも、まんざらでもない表情。
見ているだけできゅんと心臓が音を立て、心の中いっぱいに甘い感情があふれだす。
これって、私は時成さんのことが好き、ってこと? だとしたら、これが私の初恋になるわけだけど……初恋でいきなり同棲って、ハードル高くない?
今さらのようにそんなことに気づき、急に凄まじい照れに襲われた私は、人知れず熱くなった頬をパタパタと手で扇いだ。
お客さんたちは十時過ぎに帰っていった。
光希さんは、時成さんが手配したタクシーで。男性ふたりはこれからまた別の場所で飲み直すらしい。
肩を組んで『俺たちも結婚したいなぁ』と言い合い、哀愁を漂わせながらエレベーターの方向へ消えていった。