エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
囁くような掠れた低音にドキッとした瞬間、小さく開いた彼の口が近づいてきて、はむ、と上唇を挟まれた。
「んっ」
時成さんに、食べられているみたい……。
一度そうされただけで、頭の中がとろんとしてくる。特に抵抗せずされるがままでいたら、感触を確かめるように、何度も何度も、やわらかな唇が重なった。
次第に足元がおぼつかなくなってきて、縋るように彼の彼の腕に掴まり、ふわふわと甘い感触に酔う。
「……舌」
「へ?」
次々与えられるキスの甘さに酔いしれて思考能力がすっかり奪われていた私は、間抜けな声で聞き返す。
「舌、出せって。味見させろ」
肉食獣みたいな目で苛立つ彼に説明され、ようやく理解した。
けれど、いきなりそんな高度な技を要求されても困ってしまう。
「味見って……いったいどうやって」
「いちいち説明させるなよ。もういい。勝手にお前の口ん中探る」
「ふわっ! んっ……ぁ」
唇の隙間を縫って、ざらついた彼の舌が口内に侵入する。
くすぐるように私の舌を擦って、絡ませて。器用に引き出された舌先が一瞬外気に触れたところで、ちゅう、と思い切り吸われた。