エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
初めての感覚にびくっと肩が跳ねて、体じゅうが熱く火照っていく。
薄く目を開けたら、時成さんの獰猛な瞳と目が合って、ぞくりとした刹那、また舌を吸われる。
思うように息ができなくて苦しいのに、彼の唇が離れていくたび、いやだ、もっとって思う。私はどうしちゃったんだろう。胸が苦しいよ、時成さん――。
「……っ。悪い、やりすぎた」
しばらくして、時成さんが突然私の体を引きはがした。ばつが悪そうに私から目を逸らし、がしがしと髪をかき乱して頭を掻く。
「あの……?」
「見境をなくしてすまない。お前が色々と初めてだということを失念していた」
「いえ、私は大丈夫――」
「風呂。そうだ、風呂に入ってこい。ここは俺が片づける」
時成さんは全く私の目を見ようとせず、ふきんを持って私のもとを離れていった。
急にそっけなくなった彼の態度が、少し寂しい。私が色々と初めてなせいで、気を遣わせてる?
そうは思っても、今から経験豊富な女性に生まれ変われるわけもない。彼の気遣いをありがたく受け取って、言われた通りお風呂に入ることにした。