エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「じゃあ、すみませんが、お願いします」
「気にするな。ゆっくりしてこい」
相変わらずこちらを向いてくれる様子のない彼に、ちくんと針が刺さったように胸が痛くなった。
でも、まだ同棲初日だしこんなものだよね。寝るときはベッドが一緒なんだし、私から手を繋いだりしてもいいかな?
ひとりで勝手に期待しながら入浴を終え、春用に新調したばかりのイチゴ柄パジャマに着替える。そして丁寧にスキンケアとブローを済ませてからリビングダイニングに戻った。
部屋はすっかり片付いていて、汚れた食器は食洗器にかけてくれてあった。しかし、肝心の時成さんの姿が見えない。
トイレや寝室、書斎も覗いてみたけれど、彼はどこにもいない。
「買い物、とか?」
にしても、このタイミングで?
釈然としないながらも、とりあえず連絡してみようとキッチンに置いていたスマホを手に取る。すると、数分前に時成さんから一件のメッセージが入っていた。