エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

「時成さん……」

 寂しさからついぽつりと、彼の名を呟く。

 子どもじゃないんだから、ひとりで眠れるでしょ?

 そう自分に言い聞かせてみてもなかなか眠気は訪れず、私は冷たいベッドの中で何度も寝返りを打つのだった。


「ん……」

 翌朝目を覚ますと、カーテンの隙間から入り込む日差しの角度で、かなり寝坊してしまったらしいことを悟った。

「何時?」

 目を擦りながら呟き、体の向きを変えようとした瞬間、あれ?と思う。

 なんか、あたたかいものに全身を包み込まれているような。

 恐る恐る視線を下に動かすと、私の体は逞しい男性の腕にがっちりホールドされている。

 驚愕した私は慌ててその腕をほどき、上半身を起こした。

「な、な……っ」

 言葉にならない声をあげながら見下ろしたベッドには、なぜか裸の時成さんが寝ていた。

 ズ、ズボンは?

 掛け布団を摘まんでゆっくり引き上げると、彼の下半身はかろうじてボクサーパンツだけ穿いている状態だった。つまり、ほぼ全裸だ。

「ひゃあ!」

 今さらのように悲鳴を上げてベッドから下り、床に正座してどくどく鳴る心臓を手で押さえた。

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