エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

「あの日、柳澤と雨郡さん、それに光希をうちに呼んだだろう? その後、光希だけはひとりで別に帰ったが、その後で光希は個人的に雨郡さんを飲みに誘ったらしい。兄の俺すら知らない間に、ふたりは連絡先を交換していたそうでな」
「へえ……!」

 光希さん、雨郡さんみたいな男性が好みだったとは意外だ。しかも、別れた後ですぐに連絡するなんて、積極的。

 私も光希さんとは連絡先を交換してあるので、今度詳しく話を聞いてみたいな。

「光希から呼び出されるまで雨郡さんと一緒に飲んでいた柳澤は、独身仲間だった雨郡さんと、密かに狙っていた光希。同時にふたりの人間からフラれたわけだ。それでやけくそになったアイツに呼び出されて、浴びるほど酒を飲まされた。迷惑な話だ」

 酔っ払った柳澤さんが時成さんに絡むシーンを想像し、思わずクスッと笑ってしまう。

 でもちょっと待って。本当にそんな平和な理由だけだったの? だったら、すぐ私に話せたはずじゃない?

 ……時成さん、まだなにか隠してる。

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