エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「どうした? 難しい顔して」
私が急に黙り込んだので、時成さんが顔を覗いてくる。
「今の話だけじゃ、説明がつかないことがあります。どうして翌朝、その話をすぐしてくれなかったのか。私を避けるように休日出勤に出かけてしまったのか。理由があるなら、全部教えて欲しいです」
彼の目をまっすぐに見つめて、お願いする。こうなったらもう、どんなささいな疑問も残したくない。
「あ~、それはだな、花純」
しかし、彼は途端にしどろもどろになり、視線があさっての方向へ泳ぐ。
怪しい。怪しすぎる。やっぱり本当は、私に言えないようなことがあるんじゃ……。
勝手にショックを受けた私は、両手で彼の服をギュッと掴んで必死に問いかける。
「やっぱり、私が処女だから……色々と面倒くさくて、ふ、風俗に?」
「は? なんだ風俗って」
時成さんが、怪訝そうに片側の眉を引き上げる。
そうやってごまかそうとするのは、きっと私を傷つけまいとする優しさからだよね。でも、本音を隠されてまで優しくされても、私はうれしくないです、時成さん。