エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
アシスタントに見せてもらったネット上のランキングでは、昨年の下半期、『お嫁さんにしたい有名人NO.1』に輝いたらしい。身に余る栄誉でうれしいはうれしいのだが、実は複雑な気持ちだ。
なぜなら現実の私は、結婚どころか、恋人がいた経験すら一度もないのだ。
最近ではメディアでもてはやされるたびにむなしい気持ちがわいて、世間のイメージと本来の自分とのギャップがだんだんコンプレックスになってきた。
それをポロッと両親の前で話したことが、今回のお見合いに至るきっかけだ。
お相手である司波時成さんは、大学教授である私の父の教え子だった人。今年で二十七歳になる私より六つ上の三十三歳で、財務省にお勤めの国家公務員だそう。
『彼はとても頭がよく紳士的だから、花純はリラックスして自分の話をすればいい』
昨夜、父はお見合いに同席できないことを詫びつつ、そう言っていた。
そして今朝早く、岐阜で大事な講演会があるとかで出かけてしまった。講演会が終わったら観光するのだと、ウキウキの母を同伴で。
なので、今日のお見合いは私と司波さんのふたりきり。男性経験のまったくない私にとって、それがどれだけハードルの高い試練か……。