エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「ところで、こんなところで俺と話していていいんですか? 婚約者さんが怒るんじゃ」
「まだ寝てたから大丈夫。私はこれから朝風呂に行こうと思っ――」
「誰が寝てるから大丈夫だって?」
背後から迫ってきたのは、地の底から響くような低い声と、まがまがしい黒いオーラ。
あ、あれ……? 時成さん、寝ていたんじゃ?
ロボットのようにぎこちない動きで後ろを振り向くと、お揃いの浴衣に身を包んだ時成さんが、それはそれは恐ろしい笑みを貼り付けて、仁王立ちしている。
冷や汗をかいて固まる私に対し、伏見くんはお腹を抱えてクスクス笑っている。
もしかして、時成さんが部屋から出てきたのに気づいてわざと彼の話を……!?
「ちょっと来い、花純」
「は、はい……っ」