エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
こくこく頷くと、時成さんにガシッと手首を掴まれて、部屋へと強制的に連れて行かれる。
挨拶もできなかった伏見くんの方を振り返ると、彼は同情するような目で私を見送りつつ、ひらひら手を振っていた。
「あ、あのっ。伏見くんとは仕事の話をしていただけで」
室内に入った瞬間そう説明するも、時成さんは苛立った様子のまま、私を壁に追い詰めて、鼻先同士が触れそうなほど顔を近づける。
「俺が寝ている隙を見計らったというのが気に食わない」
「朝風呂に行こうとしたら偶然会ったんです」
「言い訳は聞かない。……仕置きだ」
サディスティックな囁きにぞくりとした刹那、噛みつくようなキスで口をふさがれ、同時に彼の手がシュル、と浴衣の帯をほどく。
覗いた素肌に彼の手が這うと、昨夜の余韻を残していた体の芯が、ジンと熱くなる。
お仕置きなのに、喜んでる、私……。
昨夜を境に、すっかり女にされてしまった自分の変化に戸惑いつつ、嫉妬交じりの彼の激しい愛情を受け止めるため、広い背中に手を回した。