エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
夫婦の機微ーーside時成
花純を狙う不届き者として伏見を初めて警戒したのは、柳澤に連れられて料理教室に参加した日だった。
しかし、授業中ではない。その後で、花純を馴染みのバーに連れて行った時のことだ。
たった二杯のカクテルで潰れた彼女を起こそうと体を揺すっていたら、はずみでカウンターから落ちた花純の腕が、椅子の上にあった彼女のバッグにぶつかった。
バッグは床に落ち、ついでに中身も散らばってしまった。俺は花純を再びカウンターにもたれさせ、やれやれと思いながら荷物を整理し始める。
その時たまたま、一冊のノートが目に入った。興味本位で、パラパラとページを捲る。
花純はどんな字を書くんだろう。ノートにはなにを記しているんだろう。
しかし、実際に中を見ると、意外にも男らしい角ばった字が並んでいた。
違和感を覚えつつほかのページを見ると、赤ペンの丸文字で【その通り! さすが伏見くん(花丸)】と書いてある部分あった。