エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 月日は経ち、小さなすれ違いはあったものの、俺と花純の仲は極めて良好。

 肌を重ねるようになってからはますます彼女への恋情が募り、それに比例するように俺の独占欲も増していった。

 にもかかわらず、花純は相変わらず〝お嫁さんにしたい料理研究家〟としてメディアでもてはやされている。

 早く結婚して、彼女は俺のものだと世間にわからせたい。

 そんな願望が日に日に膨らんで、彼女にも入籍や結婚式について相談し始めた、七月上旬のある日のことだ。

「時成さん、お話ししたいことがあります」

 仕事から帰ると、妙にかしこまった様子の花純がそう言って俺をリビングのソファに促した。

「どうしたんだよ、真面目な顔して」

 外が暑かったので先にシャワーを浴びたい気分ではあったが、いつになく緊張した様子の花純が気になって、言われた通り彼女とソファに並んで座った。

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