エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「ご両親は、当時の振る舞いをお互いに後悔されていました。心の底では、今でも深い絆で繋がっています」
実の息子である俺より、よほど俺の両親に親愛の情を抱いている様子で花純が語る。
「……お前になにがわかる」
俺はひとりだけのけ者にされたような疎外感を抱き、つい乱暴な言葉を口走った。
しかし花純は決して折れることなく、俺を説得しようとし続ける。
「きちんとご両親と向き合えばわかることです。時成さんが、目を逸らしているだけ」
「だとしても、お前には関係ない」
「あります! ……私たち、家族になるんですよ?」
花純が瞳を潤ませ、切実に訴える。
俺はそこでようやく彼女にひどい言葉をぶつけてしまったことに気づき、自分に嫌気がさしてため息をついた。
花純の顔そっと胸に抱きよせ、彼女を落ち着かせるように手触りのいい髪を撫でる。
「悪い。……感情的になった」
「いえ、こちらこそ……。あなたに相談もなく、勝手なことをしたのは事実ですし」