エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

「今日はありがとな、花純」

 その夜、リビングで晩酌をしながら、俺は改めて花純にお礼を言った。

 昼がご馳走だったので、夜は軽めの一品料理を花純に作ってもらって、それを肴にソファでふたり、まったりと飲んだくれている。

「いいえ。私こそ、楽しかったです。料理好きのお母様とは話が合うし、お父様は時成さんと口調がそっくりなので面白いし」
「……それ、自覚はないんだがな」

 クスクス笑う花純が、シャンパングラスを傾けてオレンジ色の酒に口を付ける。

 今夜の酒は、俺の作ったミモザ。オレンジジュースとシャンパンを一対一で合わせただけの簡単なカクテルだ。

「おいしいです。時成さんの〝真心〟が詰まってるから」
「……お前、ネットでカクテル言葉を調べたな?」
「ふふっ。時成さんがカクテルを作るって言い出した時から、きっとまたなにか素敵な意味を込めてくれるんだろうって思ってましたから」

 上機嫌の花純が、空になったグラスをテーブルに置き、俺の体にもたれかかってくる。

 どうやら酔っているらしいが、そんな積極的に密着してくると、こっちだって酔っているんだしその気になるぞ?

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