エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「時成さん、支度できました」
ソファでガイドブックを見ていた彼も、すでに着替えを終え水着姿にシャツという格好だった。私の声に振り向いた彼は、眉ひとつ動かさずに私の全身を眺める。
かと思うと、真顔のままなぜか無言で私を手招きした。
「もう、なにか言ってくださいよ」
口を尖らせながらも、ゆっくりソファに近づき彼の目の前に立つ。
すると、彼がいきなり手を伸ばして私の体を引き寄せ、自分の上に座らせた。そのまま、胸のふくらみにギュッと顔を押しつける。
「時成さん?」
「あー……抱きたい」
ボソッと吐き出された切実な言葉にどきりとしつつも、彼の顔を胸もとから引きはがして言い聞かせる。
「ダメです。せっかくハワイに来たのに明るいうちからそんなこと。時間はたくさんあるんですから、ふたりだけの時間は夜に取っておきましょうよ。ねっ?」
時成さんはしばらく不満そうな顔をしていたが、やがて観念したようにため息をつく。
「仕方ない、耐えるか。一度したら二度と部屋から出られなくなりそうだからな」