エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
彼は渋々私を膝から下ろし、自分の準備を始める。
貴重品を防水バッグに入れて、着けていた腕時計をはずして……その仕草の途中で、不意に私を見て言った。
「そういや、言うの忘れてた」
「え? なにをですか?」
「……水着。よく似合ってる」
そう言って彼が微かに笑っただけで、とすんと胸に矢が刺さった錯覚を抱いた。
時成さんって、こっちが油断している時に甘い言葉を吐くからずるい……。
じわじわ熱くなる頬を手でパタパタ扇いで冷ましていたら、支度を済ませた彼が私の頭にポンと手をのせる。
「ほら行くぞ。もたもたしてると、海じゃなくてベッドに沈める」
「……ま、待ってください! 私もなにか羽織りますから!」
慌てて寝室に戻り、自分の荷物から真っ白なレースガウンを引っ張り出して身につける。
日焼け止めや帽子の準備も整ったところで、時成さんと手を繋いでビーチに繰り出した。
昼間はめいっぱいビーチで波と戯れ、お腹がすいたら一度部屋で着替えてから、ホテル内のカジュアルなレストランでランチを取った。
私はハワイらしい大きなハンバーガーを。時成さんはここでもロコモコを注文したので、本当に大好きなんだなと笑ってしまった。