エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 満腹になった後はまた少し海で遊んだけれど、子どもじゃないので段々疲れてきて、午後はほとんど砂浜でまったり寝そべっていた。

 日差しが強いので、お互いの体に何度も日焼け止めを塗り直したり、つばの広い帽子で顔を隠しながらこっそりキスを交わしたり。

 海外でひと目が気にならないからって、ちょっといちゃいちゃしすぎたかもしれない。

 やがて水平線に夕陽が沈んでいく頃、海岸線をドライブがてら、大型スーパーに食材を買いに出かけた。

 回り切れないんじゃないかと思うほど広い店内に、生鮮食品やお惣菜が市場のように陳列されている様は、見ているだけで圧巻だった。

「今晩のおかずと、明日の朝ご飯の食材まで買っておきたいですね。時成さん、なにかリクエストはありますか?」
「明日の朝はあれがいい。前にお前が送ってきた写真の……パンケーキだったか、ジャガイモの」
「ああ! そういえば、まだ一度も作ってあげたことなかったですね。あの後、また少し改良したレシピが、来月発売の朝ご飯をテーマにしたレシピ本に載るんですよ」

 話しながら、ジャガイモ売り場を目指して歩く。野菜コーナーだけで相当広いので、たどり着くのにひと苦労だ。

< 229 / 233 >

この作品をシェア

pagetop