エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

【俺は二度寝する。おやすみ】

 そんな文章の後、派手にいびきをかいて寝るワニのスタンプが送られてきて、ふっと笑いがこぼれた。

 なんでワニ? っていうか、司波さんもスタンプとか使うんだ。

 彼の意外な一面を知り、胸がほっこり温かくなった。

「さて、本当に冷めちゃうから食べないと」

 スマホをポケットにしまい、紅茶を淹れてパンケーキと一緒にダイニングテーブルに並べる。

「いただきます」と手を合わせ、さっそくパンケーキをひと口食べた。

「うん。想像以上」

 レシピからある程度予測していた味よりも、美味しく感じられた。これはヒットするかもしれない。

 私は味や食感の特徴をスマホのメモ機能に事細かに残すと、それ以降は純粋に、朝食としてのパンケーキをゆっくり味わった。


 岐阜に出かけていた両親は、二十時すぎに帰宅した。夕食は済ませてきたそうなので、リビングのソファで休憩する彼らにお茶を淹れ、泊まった宿や温泉、食べたものなど、土産話たくさん聞かせてもらった。
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