エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
不機嫌な婚約者
目を覚ますと、そこは自分の部屋だった。ゆっくり起き上がったら頭がズキっと痛み、二日酔いだと悟る。
「絶対マティーニのせいだ……」
昨日の記憶を回想して小さく呟く。でも、あのバーからどうやって帰ってきたのかは覚えていない。自分で店を出てタクシーに乗ったのかな……。
無造作に床に置かれていたバッグを手に取り、スマホを確認する。今日から五月。時刻は朝の九時過ぎ。それと、三十分ほど前に司波さんからのメッセージが一件届いていた。
【お前が眠りこけてる間、榛名先生に呑まされて二日酔いだ。しかし、連休の間にお前をうちに来させることへの承諾は得た。さっさと準備して引っ越してこい】
「えっ?」
司波さんと父がなんで? もしかして、昨夜は司波さんに家まで送ってもらったのかな。
【昨夜のことがよく思い出せないのですが、送ってくださいました?】
そう返してみたものの、既読がつかない。昨日から明日までの三日間は平日なので、カレンダー通りに働く公務員は出勤なのだろう。
私も午後から生放送の情報番組に出演する予定がある。それまでに体に残ったお酒を抜かなければ。