エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 自分の失態に愕然としながら、スープとスプーンをダイニングに運んで椅子に腰掛ける。

 今朝のメッセージを見る限り、司波さんが怒っている様子はなかった。

 でも母の話が本当なら、次会った時は嫌みを言われるに違いない。覚悟しておこう……。

 そんなことを思いながら、スープをひと口飲む。このキャベツのスープは、昔から母の得意料理で、私も大好きな味。

 丸ごとのキャベツと塊のベーコンを一時間かけてじっくり煮込むから、野菜と肉のうま味がたっぷり染み出していて、二日酔いの胃にも優しい。

「はぁ。美味しい……」

 しみじみスープを味わっていると、母も自分のスープとこんがり焼いたバケットを運んできて、私の向かい側に座った。

「そういえば、お父さんは?」
「今日の授業は午後だけだから、まだ寝てるわ。お父さんも二日酔いかもね。昨夜、帰ろうとする司波さんを引き留めてふたりでウィスキーを飲んでたから」

 司波さんに聞いた話と同じだ。この家で父と彼がお酒を酌み交わしていたって、想像するとなんか不思議な光景だな。

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