エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「暇ならうちにに寄れ」
「え?」
「お前の飯が食いたい」
店の自動ドアを出て一度立ち止まった彼は、私の手首を解放しブスっとした顔で言い放った。
表情と言葉の内容が合っていないので、私の頭は軽くパニックになる。
「でも、大好きなロコモコを食べるつもりだったんじゃ?」
彼が手にする紙袋をチラッと見てそう言ったら、司波さんの眉間にしわが寄りますます不機嫌な顔になった。
だから、なんで怒ってるの……!
どうして彼が情緒不安定なのかわからないが、私のご飯を食べたいという気持ちだけは、なんとなく伝わった。
「わ、わかりましたよ。なにが食べたいんですか?」
「……なんでもいい。お前の作ったものなら」
承諾した途端、笑顔こそ浮かべないけれど、彼の表情から怒りが消えた。それに今の発言。受け取り方によっては、すごく甘いセリフじゃない?
そんなこと言われたら、司波さんのためになんだって作ってあげたくなっちゃう。