エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「じゃ、こんなのはどうですか? 今夜は私もロコモコを作って、カフェの味と食べ比べてみるんです。それで、どっちが美味しいかふたりで決めましょう?」
「なるほど。採用」
どうして素直に〝いいな〟とか〝そうしよう〟とか言えないのかな。まぁ、そんな言い方も司波さんらしくて、悪くはないのだけれど。……ってあれ? 私ってまさかドM?
いやいやまさかと小さく首を振り、料理のことに頭を切り替える。
「じゃ、材料の買い出しですね。今日はスーパーで材料をそろえちゃいましょうか。この近所だったらどこに――」
尋ねながら彼を見上げた瞬間、彼の手がそっと私の手に重なり、指を絡めてギュッと握った。
えっ? なんで手を……?
私を見下ろす切れ長の目からはなんの感情も読み取れないけれど、重なった手は温かくて、否応なく胸が高鳴る。
「スーパーなら、すぐそこだ」
そっけなく告げて歩きだす彼に引っ張られ、慌てて追いつきながら尋ねる。
「あの、この手はいったい?」
「嫌ならほどけ」
「い、嫌というわけではないですけど……!」