エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
それまで、いかに美味しいロコモコを作るかに意識を注いでいたのに、母の言葉で急に恥ずかしくなり、彼の自宅にいるという事実にもそわそわしてしまう。
こんな感じで、本当に同棲なんてできるのかな……?
一抹の不安が胸をよぎるが、とりあえず母のメッセージは既読スルーして、エプロンを着け「よしっ」と気合を入れた。
「なぁ、今回も俺はお前の料理する姿を見ない方がいいのか?」
スーツのジャケットを脱ぎ、ダイニングテーブルでスマホのチェックをしていた司波さんがふと聞いてきた。
そういえば、前回は彼をキッチンから追い出したんだっけ。初対面の司波さんをぎゃふんと言わせたくて必死で、絶対に失敗したくなかったから。
でも今回は、そこまで肩に力を入れなくてもいいかな。
彼の方から『お前の料理が食べたい』って言ってくれたし……料理への興味を持ってもらうために、彼にも少し手伝ってもらうのもアリかも。
「いいですよ。その代わり、少しお手伝いをお願いしてもいいですか?」
私の提案に、司波さんは微妙に嫌そうな顔で苦笑する。