エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「料理教室で俺のセンスのなさは知っただろう。それでもか?」
「でも、苦労しながら自分で作ったお弁当って、不思議と美味しかったでしょう?」
「それはお前のレシピを使ったから味が保証されていただけで」
「つべこべ言わないで一緒にやりましょうよ。ねっ」
強引にけしかけると、司波さんはため息をつき、渋々椅子から腰を上げた。
「……仕方ないな。なにをすればいい」
「司波さん、お米を研いだ経験は?」
「ない」
司波さんはワイシャツの腕をまくり、なぜか偉そうに腕組みをした状態で、一点の曇りもなく即答した。
前にお母様が料理好きだと話していたから、経験する機会がなかったんだろうな。
「じゃ、教えますからやりましょう。私の通っていた大学の栄養学科でも、調理実習の一番初めは、お米のとぎ方から習ったんです」
「ふうん。栄養学科ということは、栄養士の資格を持っているのか」
「はい。卒業後には管理栄養士と、フードアドバイザーの二級、野菜ソムリエの資格も取りました」