エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「そういう問題じゃない。二日連続でお前を拘束したんだ。榛名先生に挨拶しないとまずいだろ」
「拘束だなんて大げさな。昨日も今日も、私は自分の意思で司波さんと一緒に……あ、そういえば」
ふと思い出したのは、今朝の母との会話だ。司波さんは昨夜、父とお酒を飲みながらどんな話をしたのか。
母が『ご馳走さま』と思うほどの発言とはどんなものだったのか、今なら本人に尋ねられる。
「昨夜は父とどんなお話を?」
そう尋ねた瞬間、司波さんが食べていたものを喉に詰まらせて盛大にむせた。
「だ、大丈夫ですか? お水……っ」
顔を背けてゲホゲホと咳込み続ける彼に、テーブルの上にある水のコップを手渡す。
無言でそれを受け取った彼は、少しずつ水を飲んでのどを潤すと、コップを置いて鋭い視線を向けてきた。
「……お前には関係ない」
「嘘です。父が私のことで司波さんに絡んでいたというのは母に聞きましたから。ただ、司波さんがどう話していたのかは教えてもらえなかったので、ご本人にお伺いしようと」
「そこまで知ってるなら先に言え。だからといって別に、お前が興味を持つような話はしていない。俺は先生に合わせていただけだ。……料理のことは褒めたかもしれないが」