エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
その甲斐あって、徐々に俺たちの距離は縮まってきたように思う。しかし、もともと俺の性格がひねくれているせいか、それとも花純が鈍感なせいなのか。
なかなか男女の甘い空気にはならず、気の置けない友人のような立ち位置になってしまっているのが、目下の悩みである。
とはいえ、一緒に住み始めれば自然と親密な雰囲気が生まれるはず。彼女の料理だって毎日食べられるようになる。
そこまで思い至り少し気を取り直した俺は、味気ない職員食堂の定食を仕方なく口に運び始めた。
翌日の土曜からは四連休だった。初日は花純を迎え入れるための掃除に精を出し、その後で今後必要になるであろう洗面用具などの買い出しをした。
普段あまり入らないナチュラル系の雑貨店で、お揃いだがそこまでカップルの雰囲気を主張しない歯ブラシやコップのセットをジッと吟味していると、若い女性店員がさりげなくそばにやってきた。
「プレゼントですか? それともご自宅用ですか?」
「自宅用です」
「奥様のご趣味って、わかります?」