捨てられ幼女は最強の聖女でした~もふもふ家族に拾われて甘やかされています!~
 ローゼマリーはどこか苦しげに笑うと、私の首もとに顔を埋めて言った。
「お姉様は、これまで私に本当によくしてくれた。小さい頃から、ずっとずっとそばにいてくれて、大切にしてくれた。お姉様がいるから、今の私がいるの。でも……ゲームでは違う。お姉様は私をいじめたわ。嫉妬をして嫌がらせもしてきた。私を怖い顔で睨みつけて、耳を塞ぎたいくらいの言葉をぶつけてくるの! 今は優しくても、きっとそうなっちゃうの! だって……ここはゲームの世界なんだから!」
 ひと息で言い放ったローゼマリーは、どこか泣きそうな顔になって言った。
「だから、お願い。これからも変わらないでいて」
 ――どうやら、私の説得は功を奏しなかったようだ。
 バチン! と紋章が爆ぜる。棘だらけの蔓は、まるで生き物のように地面を這うと、私の腕に絡みついた。焼け付くような痛み。体験したことのないそれに頭が真っ白になる。
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